ロタウイルス胃腸炎について
乳幼児の嘔吐や下痢の原因として重要なのがロタウイルスです。
日本では下痢による胃腸炎の約40%がロタウイルスによるもので、生後6カ月から2歳に多くみられ、ほとんどの子供が5歳までにかかります。
年間6歳未満の子供たちの約80万人がロタウイルス胃腸炎で外来を受診、また5歳未満の子供たちの15人に1人がロタウイルス胃腸炎で入院しています。
ロタウイルス胃腸炎は、突然の嘔気や嘔吐、激しい水様性下痢で始まり、発熱や腹痛などの症状もみられます。多くは1週間程度で回復しますが、中には脱水、けいれん、脳炎・脳症の合併症もあり、死亡する例もみられます。便の色が黄白色となることから、乳児白色下痢症と呼ばれていたこともあります。
ノロウイルスに比べると発熱を伴うことが多いのが特徴です。主に毎年2月頃から4月頃に流行します。
ウイルスは患者の便より大量に排泄され、周囲に付着し、これが手やおもちゃ、本を介して子供の口に入り感染が広がります。感染力は非常に強く、保育所などで大流行します。
抗ウイルス薬もなく、治療は脱水予防などの治療しかありません。したがって感染予防が重要となってきます。
現在2種類のロタウイルスワクチンがあり、いずれも経口生ワクチンです。WHOでは重要なワクチンと認められ、定期接種するように推奨し、多くの国々では定期接種となっています。当院でも取り扱いをする予定です。